比例道

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AIで碁は打てても、AIで相場は張れない

近頃のAIブームに乗っかって、証券会社や銀行が「AI外貨予測」「AI為替予測」なんてのを始めた。3年くらい前に一部の証券会社が提供していたた「過去チャート検索機能」と本質的には同じだ。基本は同じで(ここすごく重要)「チャートの形が同じなら同じ結果を生む」という考え方に基づいている。この考え方が正しいのなら、AIで相場を正しく予想することができる。AIは教師あり学習は得意なのだ。

ところが残念なことに先の考え方は間違っている。全く同じチャートの形が生じても、いつも同じ方向に値が動くとは限らない。つまり入力データが同じでも、教師データが正反対になる(相場は上がるか下がるかしかないからね)ことがある。これをdeep learningに突っ込むと学習が進まないというか学習ができない。

これはうれしい結果だ。アホな連中が何千台のGPUを並べて数メガワットの電力を消費して相場を予想しても、歴戦のたったひとりの相場師にかなわないのだ。なんと痛快な。

私はdeep learningの研究を仕事にしてはいるが相場師でもあるので、この結果はなんだかうれしい。人間はまだまだすてたものではない。