比例道

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セミの昼寝

玄関先にセミが死んでいた.コンクリートの上で朽ち果てるのはセミにとっても本意ではなかろうと,土の上に移すことにした.紙でそっとすくって土の上まで運んだ.紙を傾けてセミをすべり落として弔いは終わるはずだったのだが...落としたセミは着地する直前に猛然と羽ばたき始めてそのまま空高く飛んで行ってしまった.そして呆然とした私だけが残された.あんなに飛べるんなら,なんで玄関先でひっくり返っていたんだ.昼寝か?それとも命の最後の炎を燃やしたのだろうか.またコンクリートの上に着地しないことを祈る.