比例道

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エンジニアの営業マン化による技術力低下

新幹線車両を作っている日本車輌製造が大赤字だ.この会社のことは何も知らなかったのだが,なぜこんなことになったのかは想像がつく.そして,この会社以外でも例えばシャープやNECなんかも,同じ轍を踏むような気がして仕方がない.その理由は,21世紀になって日本企業を蝕んでいる「営業至上主義」だ.コツコツ技術を磨いている社員ではなく,技術はなくともお客を取ってくる社員を優遇する.技術の会社なのに,営業成績だけで出世が決まる.その結果,上に立つ者が技術の基本的なことを理解していないことになる.そうすると,日本車輌製造のようになるのだ.

シャープは研究開発本部を研究開発事業本部とした.これはシャープに負の効果をもたらすだろう.技術会社で開発を志す者はみな,本田宗一郎のようになろうとしなくてはならない.それはとても困難な道だが,困難だからと言って目標を変えると,技術力は急低下する.技術会社のトップはもちろん本田宗一郎のようでなくてはならない.技術の分からない者が指揮をすると,その会社を誤った方向へ導く.

私はあちこちの会社で,技術の分からない連中が権力を持ち,それ故に事業に失敗した例をいくつも見てきた.日本でこれからそんな話が増えていくだろうと思うと気が重い.企業側から改革することはたぶんできないだろうと思う.大学側からでないと改革できないだろう.なぜなら,これは人をどう育てるかという話だから.